広島県熊野町の書道文化の理解




1. 筆の里 広島県熊野町について



7月24日(水)の活動では、日本一の筆の工房が集まる広島県熊野町の書道文化や小学校低学年の書写教育(書写の授業)について動画での鑑賞を行いました。









【「熊野町の書写の授業」 熊野が大切にするひととき 低学年書道科(動画)】







【「筆の里」熊野町 の熊野筆「筆の里工房」紹介サイト】

  → 熊野筆の歴史,製造工程などが,写真や動画を交えて詳しく解説されています。




広島県熊野町には筆の原材料となるものは何一つありません。


それでは、なぜこの町に筆づくりが発達したのでしょうか?

熊野町は、四方を海抜500m前後の山々に囲まれた小さな高原盆地です。広島、呉、東広島の三つの市に囲まれるように、南北に細長い形をしています。

人口は約24,500人を数え、その内約2,500人が筆産業に携わっていると言われています。また、伝産法により伝統工芸士に認定された、筆づくりの名人が20人います。筆の原料となる動物の毛は、主に、ヤギ、馬、いたち、鹿、タヌキなどで、ほとんどを中国や北アメリカから輸入しています。筆の軸は、岡山県や島根県などから仕入れており、台湾、韓国からも輸入しています。このように、熊野町には筆の原材料となるものは何一つありません。それでは、なぜこの町に筆づくりが発達したのでしょうか?






◇18世紀末(江戸時代末期)ごろ、平地の少ない熊野村では、農業だけでは生活が苦しいため、農閑期を利用して、奈良地方から筆や墨を仕入れ、それを売りさばいていたことが、きっかけとなり、筆と熊野の結びつきが生まれました。



◇今から約180年前になると、広島藩の工芸の推奨により、全国に筆、墨の販売先が広がり、本格的に筆づくりの技術習得を目指すことになりました。

その先駆者となったのが、当時筆づくりが進んでいた、奈良や兵庫県:有馬に派遣されたり、地元に招いた筆づくり職人に、技術を習った若い村人達でした。



◇その後、村民の熱意と努力により筆づくりの技が根づき、明治5年に学校制度ができ、33年には義務教育が4年間になるなど、学校教育の中で筆が使われるようになり、生産量が大きく増加しました。


第2次世界大戦後、習字教育の抑制により毛筆の生産量が落ち込んだ時期もありましたが、昭和30年頃からは書筆づくりの技術を生かして、画筆や化粧筆の生産も始まり、昭和50年には広島県で初めて通商産業大臣により伝統的工芸品に指定を受けました。現在では、毛筆、画筆、化粧筆のいずれも全国一の生産量を誇る産地として知られています。また、近年は化粧筆の品質が国内外で高く評価されています。このように、熊野の筆づくりは、今もなお親から子供へ子供から孫へと引き継がれています。









2. 7月24日の鑑賞学習の目的



 今回、広島県熊野町についての学習を行ったのは、本校が毎年この熊野町で開催される「全国書画展覧会・ふれあい書道展」に部活動の作品を出品していることにあります。

今年も6月に出品した作品の審査結果が7月下旬に本校に届きました。



この機会に、「広島県熊野町とはどういうところ・・・?」の理解を深めるために、書道の文字文化の理解として部員全員で熊野町の小学校で行われている小学校低学年書写の授業の取組みの動画を鑑賞しました。







3. 今年の「全国書画展覧会・ふれあい書道展」の審査結果


文部科学省・広島県後援「全国書画展覧会・第39回ふれあい書道展」

高3 平田 早穂さん 特別賞:広島県教育委員会賞受賞



 「全国書画展覧会・ふれあい書道展」広島県熊野町が開催する書道展で、昭和6年に全国書き方展覧会として日本一の生産量を誇る「筆の都」広島県熊野町で始まり、以来毎年開催されている古い歴史と伝統がある書道展覧会です。


  「ふれあい書道展」は、 その熊野町で、筆を持ち書に親しむことを通じて、私たちの生活がより豊かに彩られるようにという思いから始まりました。誰でも、いつでも、どこででも、自分の興味や関心の持てることを進んで学習できるすばらしい社会の実現を目指して、書に興味のある方、また書を始めてみようと思う方、書道サークル、書道塾、公民館での文化活動をはじめ、いろいろな場所で筆を持ち、作品づくりに挑戦した様々な作品が出品されます。






 またより多くの方にその機会が訪れるよう、応募に関する条件はなく、どなたでも出品できます。 さらに応募者全員に作品画像入りの賞状が送られてきますので、出品者の励みにもなっています。

 昨年は最年少は2歳から最高齢は108歳で、年齢で一番多かったのは10代、次に80代でした。生涯にわたって書に親しまれている様子を伺うことができましす。   今回は全国の高校また一般の書道愛好家など47都道府県の1354団体から16,500点の出品がありました。審査は文部科学省教科調査官の先生方で行われ、7月20日にその結果が本校に届きました。





平田さんの作品は熊野町民会館で来月10日より展示されます。


【特別賞】

高3 平田 早穂  広島県教育委員会賞 第3位

その他【筆都(ひつと)大賞】【特選】【奨励賞】に29点の作品が入賞しました。



【優秀作品展示会】

日時 2019年8月10日(土)から18日(日)

場所 熊野町民会館 

  広島県安芸郡熊野町中溝一丁目11番2号



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