2021夏期オープンスクール筆作り体験

2021年7月11日日曜日、本校オープンスクールの書道講座では「筆作り体験」を行います。

体験講座の内容についてお知らせいたします。


期日 2021年7月11日(日)

時間 体験講座2校時 10時55分から11時35分

場所 書道教室

【進行手順】

入室時に着席座席のご案内を書道部員により行わせていただきます。

保護者の方も筆作り体験の用具を準備しております。


1 はじめの言葉

2 体験講座運営支援 浦和 鵞毛堂様 伝統工芸士の方の紹介

3 運営支援の書道部員、本校後援会書道部の保護者の方の紹介、本校書道科教諭自己紹介

4 iPad活用の説明

5 作業手順概要説明

6 「筆作り体験」及び「様々な毛筆の毛と筆の筆耕体験」

  参加の皆様を2グループに分けて作業を進めます。

  本日は伝統工芸士の先生により筆作りの「穂首作り」を行います。

  筆作り体験のグループが作業を進めている間は、別のグループは様々な筆の毛や筆に触れたり水書きシートに書いていただいたりしていただきます。


7 作業終了後は、本日作成した筆を業者様にお預かりいただき、参加いただいた方に記載いただいた住所・保護者様宛に後日完成品を郵送させていただきます。



【当日の配布資料】

筆に関する資料(印刷物)を配布させていただきます。



【今回の筆作りの作業体験について】

筆作りは以下の手順で進む作業ですが、今回のオープンスクールでは、7の「芯立て」の作業を中心に進めます。広島県熊野筆の例でご紹介いたします。


筆作りの作業の具体(製造工程)は以下の動画でご参加前にご覧いただくと、作業のイメージが把握できます。



I.【筆作りの工程】

筆づくりの最も大切な工程は、材料の毛の選び、筆の性質に応じて混ぜ合わせる過程です。 熊野の筆を作る職人たちは、長年鍛え抜いた目と指先の感触を頼りに、一本の筆を丹念に仕上げ ます。

筆の作り方は、大きく12の工程に分けることができます。


1. 選毛【せんもう】・毛組み【けぐみ】 

2. 火熄斗【ひのし】・毛揉み【けもみ】 

3. 毛そろえ

4. 逆毛、すれ毛取り

5. 寸切り【すんぎり】 

    ここまでの工程をまとめて下仕事と呼びます。

6. 練り混ぜ【ねりまぜ】

7. 芯立て【しんたて】 

8. 衣毛巻き【ころもげまき】 

9. 糸締め【いとじめ】 

    これらの工程をまとめて台仕事と呼びます。

10. くり込み【くりこみ】

11. 仕上げ

12. 銘彫刻【めいちょうこく】 

    これらの工程をまとめて仕上げと呼びます。


 熊野筆の製造工程で最も大切なのは、材料の原毛を選び仕分けして、作成する筆の性質に応じて 混ぜ合わせる工程です。 熊野の筆作りの職人は、永年鍛え抜いた目と指先の感触を頼りに、一本一本丹念に仕上げていき ます。



1.選毛(せんもう) と 毛組み(けぐみ)

熊野筆の筆作りは、原毛の選別作業から始まります。原毛を厳選して入手し、筆の使う場所に 応じて、長さや太さや硬さを揃えます。同じ種類の動物の毛でも、部位によって太さや硬さが異 なりますので、原毛を一房づつ手に取って、丁寧にそして緻密に選別します。素材の違いを確実に 見分けられるような眼になるには数十年の経験が必要です。これらの作業を選毛と呼びます。

次に、大筆、中筆、小筆等の作る筆の種類にあわせて原毛の組合せを決めます。1本の筆を作 るには、10種類以上の異なる原毛を混ぜ合わせます。それぞれの筆によって、各原毛の配合割 合、長さ等が異なります。これを毛組みと呼びます。料理でいう“レシピ“のようなものです。我が 社には100年以上語り継がれた200種類以上の毛組み表があります。


2.火のし と 毛揉み


3.毛そろえ

選別された毛は、一定の長さに切り揃え、米の籾殻 (もみがら)の灰をまぶします。これに、熱した「火の し」を当てます。火のしをあてる温度や時間は、毛の種類 によって異なりますので、毎回微妙に調整されます。この 工程を火のしと呼びます。火のしによって天然に曲がった 原毛を真っ直ぐにします。髪の毛にストレートパーマをあ てるような作業ですね。

火のしされた毛を素早く鹿皮に巻いて、 毛を折らないよ うに注意しながら丹念に揉み込みます。熱を含ませ、揉み ほぐすことで脂肪分や汚れを取り除きます。この工程を毛 揉みと呼びます。毛揉みは、動物の毛に含まれる脂肪分や 汚れを取り除き、毛の質を整えます。毛揉みによって墨の 含みを良くすることができます。

自然の動物の毛には綿毛(わたげ)という綿のような使い物にならない細くて弱い毛が付いて います。櫛抜き(くしぬき)して綿毛を取り除いたあと、少量ずつ毛を積み重ね毛を揃えていきま

す。何度も金櫛をかけて、綿毛を完全に取り除いて毛の質を整えていきます。綿毛が原毛の半分以 上になる場合もあります。


4.逆毛とり、すれ毛とり

毛先を完全にそろえ、半差しという小刀で逆毛やすれ毛を指先の感触を働かせながら抜き取り ます。動物の毛にはキューティクルという小さな突起があり、毛先の方向に向いていますので、逆 毛があると半差しの刃にキューティクルが引っ掛かって出てきます。その繰り返しで逆毛を取り除 きます。毛先の無い悪い毛等は目と触れる指先の感触を頼りに見つけ出し、半差しで取り除きま す。この作業を行う職人には永年の経験が必要です。この作業を何度も繰り返すことによって毛先 のある良い毛だけを徹底的に選り抜きます。



5.寸切り(すんぎり)

筆の穂先は、大きく分けて5つの部分に分けられます。毛先の部分が「命毛」、その下が「の ど」、 中程が「肩」、根元に近い部分が「腹」、そして、一番根元の部分が「腰」です。一部の 名称は人間の身体に例えられていますね。

それぞれの筆の毛組みによって、この5つの部分の毛の長さの寸法が決まっています。円錐状の 筆を作る為には穂先の部分毎に毛の長さを変えなければいけません。寸切りは各毛の長さを毛組 み通りに整える作業です。それぞれの部位の寸法を取った寸木を乗せ、毛先を基準にして、お尻の 部分を切りそろえます。(毛先は切りませんよ!) 切目が正確に揃うよう、何度も確認しなが ら徐々に整えていきます。この時には特別なハサミやバリカンを使います。このようにして部分毎 に長さを整えられた毛は、塊(くれ)と呼ばれるかたまりにして、新聞紙を毛の長さと同じ長さ に細く切った紙で巻き、次の作業に備えます。

次に台仕事では、下仕事で整えられた良質の毛の塊(くれ)を穂首に仕上げていきます。



6. 練り混ぜ(ねりまぜ)

練り混ぜは、毛を水に浸し、各種の毛を混ぜ合わせていくにあたり、毛組みが均一にむらなく 混ざるようにする作業です。塊(くれ)を分解し、毛をうすく広く伸ばし、幾度も折り返してはう

すく伸ばして、各種の毛を混ぜ合わせます。その間に逆毛やすれ毛などを取り除きながら、何度も 櫛を通して質の良い毛を揃えていきます。吟味された質の良い毛は、うすく溶かした布海苔(ふの り)で固めて、平目にまとめます。



7. 芯立て(しんたて)

芯立ては、練り混ぜした平目を穂首1本分の大きさに分け、穂首の形を作って行く工程です。平 目から割った毛を駒(こま)と呼ばれる芯立て筒に通して穂首の径を確定して、穂首の形を作っ ていきます。手の感触を頼りに、不必要な毛を抜き取ります。



8. 衣毛巻き(ころもげまき)

穂首の芯の周りに巻きつけられる毛を衣毛(ころもけ)といいます。上毛ともいます。衣毛には 通常芯に使われるものより上質なものが使われます。衣毛に使われる毛も、芯になる毛と同様 に、練り混ぜ、平目という同じ工程を経て整えていきます。

に一重に巻き付けるだけの量の衣毛の毛をとり、万遍なく巻く衣毛を巻きます。万遍なく薄く 一重に衣毛を巻く作業は特に高度な技術と経験が必要です。綺麗に衣毛が巻かれた穂首は、一日 または二日間自然乾燥させます。



9. 糸締め(いとじめ)

乾燥した穂首の根元を麻糸でくくります。麻糸は強度が強く、伸縮性がなく、濡れるとさらに 強度が増しますので、麻糸を濡らしながら使います。糸の結び目の下の方の毛の根元に焼きこて をあて、焼き固めると穂首の完成です

台仕事で作られた穂首を完成品に仕上げていきます。



10.繰り込み

繰り込みは軸に穂首をつけて完成品にする工程です。軸は、竹や桜の木等から作られています。 繰り込み台の上で筆の軸を回転させ、穂首が入りやすいサイズになるように軸の内側を均等に削 ります。その後接着剤で穂首を軸に接着します。



11.仕上げ

穂首を糊固めをして形を整える工程を仕上げと呼びます。穂首の寿命を保つためにも大切な工 程です。 ガラス板の上に布海苔を置き、穂首をガラス板に叩き付けるようにして布海苔を穂首全体にそし て根元まで充分に含ませます。不必要な布海苔は、糸かけで取り除きます。 糸かけは麻糸を穂首に巻きつけて、軸を回しながら布海苔をしぼり取ります。この作業により 穂首が綺麗な円錐状になります。


12.銘彫刻(めいちょうこく)

仕上げした筆を軒下や室内で充分に自然乾燥させ ます。 十分に乾燥した筆の軸に、工房や筆の名前が彫刻 刀で刻まれていきます。



● 筆に関する資料のPDFを公開しております。

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